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TOP利活用事例 > インタビュー③【空き家活用】

地域と都会の両方が、
元気になる薬を作る仕事です。

2012年、故郷の美波町にサテライトオフィス「美波Lab」を開設した吉田さん。翌年には同町に「株式会社あわえ」を設立し、地域活性化を柱とした新規事業をスタートさせるなど、行政や地域と連携した活動を続けています。
豊かな自然環境や空き家の有効活用など、地方だからこそ解決できる“都会の課題”についてお話を伺いました。

職場の環境づくりで
優秀な人材を集める
ために

─吉田さんは、もともと美波町(旧・日和佐町)出身ですよね。

吉田:はい、薬王寺前の商店街で生まれ育ちました。実家では、今も親父が家庭雑貨の商売を続けています。阿南市の高校を卒業後、神戸の大学に入学し、徳島市のIT企業に就職。関西や東京のIT企業への転職を経て、2003年に「サイファーテック」というセキュリティの会社を東京に設立しました。

─なぜ、徳島にサテライトオフィスを作ろうと?

吉田:無名のベンチャー企業が強豪ひしめく東京で人材を確保するのは、とても難しかったという背景が、そこにはあります。特にセキュリティのエンジニアは希少性が高く、ほとんどが大手企業に就職してしまう。事業は拡大しているのに、誰一人採用できないという年が続きました。サテライトオフィスを考えるきっかけとなったのが、趣味で続けていた稲作です。週末に千葉県まで出掛けてお米作りを楽しんでいたのですが、クチコミでたくさんの人が手伝いに来てくれるようになって。みんなが「楽しい!最高!」と言っているのを見て「こういうことが日常的にできる会社をつくれば、もの好きなエンジニアが来てくれるんじゃないか?」と感じたのが事の発端です。

─故郷の美波町を移転先に選んだ理由を教えてください。

吉田:たまたま、徳島県が積極的にサテライトオフィスの誘致を行っているという話を聞いたので、一度足を運んでみようと。よく調べたら、県下全域にインターネット回線のインフラも整っていることが分かりました。でも、美波町にサテライトオフィスを作るのは、最初はちょっと抵抗があったんです。地元の人にとっては「ITベンチャーって何?」という感じでしょうし、業績によっては半年で撤退することもありえるじゃないですか。そのリスクを考えると、移転先は故郷以外の地域にしたいという思いが強かったんです。

─でも、結局は美波町を選ばれたと。

吉田:たまたま老人ホームの跡地が空いていたのと、その真横の田んぼを貸してくれるということになって。しかも、近くには海も山もある。サーフィンや釣りなどの海系の遊びって「移住してでもやりたい趣味」に分類されると思うんです。こんな素晴らしいロケーションで、一定の給料を稼ぎながら働くという条件なら、スタッフも集まるかもしれない。そんな思いで、2012年に「美波Lab」を作りました。ここに来た当初は7名だった社員数も、今では20名を超えています。

“コト・ヒト・カネ”の
3つの資源を活かす

─ここにやって来て、実際に良かったことはありますか?

吉田:狙い通り、ここで暮らしたいと願う社員も集まったし、実際の仕事環境としもてすごく良かったので、翌年の5月に本社を美波町に移しました。今は東京の方がサテライトオフィスになっています。その1年を通じて思ったことが「地方が都会の悩みを解決してくれる時がある」ということ。私と同じ悩みを持つ全国の経営者に「地方は、経営や人材教育にも活かせることを伝えたい」と思いました。都会の経営者や若者がハッピーになり、結果として地方もハッピーになる。それを事業化するために開設したのが「あわえ」だったんです。

─明治時代から続く銭湯を改築したことでも話題になりましたね。

吉田:弊社の事業方針は、コト(文化・歴史)、ヒト(地域コミュニティ)、「カネ(地域産業)の3つの資源を活かすことです。ここにないものを魔法のように作ることはできないし、無理にドーピングのようなことをしても意味がない。もともと地域が持っているこの3つの要素を磨いて、まちを元気にすることを目指した時、地域コミュニティのハブとして機能し続けてきた銭湯が、シンボリックな存在になると思いました。

─銭湯を改築した事務所を拠点に「日和佐エリアリノベーションプロジェクト」など独自の展開を続けられていますね。

吉田:多くの人に「町が変わった!」と感じてもらうためには、広い範囲を少しずつ変えるよりも、エリアを限定した方が良いと。なぜかこの通りには若い子が多いとか、お洒落な古民家が多いと感じてもらうことを目指しました。使える空き家が多かったことや、昔の町名が付いていたことも、プロジェクトの中心地に“日和佐浦”を選んだ理由の一つです。大きな仕掛けの中で、地域全体のリノベーションを起こしていきたいと思いました。

─移住者やサテライトオフィスの誘致にも大きく貢献していると伺いました。

吉田:県の調べによれば、当初は弊社だけだったサテライトオフィスは16社にまで増えているそうです。それ以外にも、床屋さんやカフェ、ゲストハウスなどの個人事業を行われる方も増えていて、実際の数字よりも大きな波及効果を生み出しています。

─2015年には「Work and Play+ 戎邸(ワーク アンド プレイ プラス えびすてい)」も開設されましたね。

吉田:地方に必要なヒトというのは、頭数ではなく“一緒に汗をかいてくれるプレイヤー” だと思っているので、リゾート感覚で視察に来られてもお互いに良くないなと。一見の観光ではなく、地元に不可欠な“ヒト”になっていただくまでの階段を作るために設けたのが「戎邸」です。施設の前でタバコをすっているだけで、地域の人と会話がはじまる。数日にわたって宿泊する中で、ワーク(仕事)とプレイ(遊び)、そしてプラス(自分たちにできること)の3つを体感してもらえれば嬉しいですね。

先行して
培ったノウハウを
独自のサービスと
して昇華

─わずか数年で、これだけの効果を出せた理由はどこにあるとお考えですか?

吉田:手前味噌になりますが、弊社が「本気で企業を呼ぼう」と思っている県内唯一のプレイヤーとして活動したからではないでしょうか。こういう事業をやっていると、地域愛とか博愛精神のある企業として受け止められることが多いんですが、私たちはボランティアをやるつもりはまったくありません。大きな事業コンセプトは“美波町で、地域と都会が元気になるお薬を作る”こと。弊社が数年を掛けて培ったノウハウをサービスとして提供することで、結果として地元の発展にもつながれば良いなと思います。

─今後の抱負をお聞かせください。

吉田:私たちがこの地域に入ってきて、住民とビジネスの狭間の中で苦しみながら解決してきたことが、ようやく言語化されてきました。地方でさまざまな事例を重ねることで得た経験を「今から自分たちも成功したい」と考える自治体や企業に届けていきたいと思います。ただ、先行した故の課題もたくさんあります。企業移転や移住者が増えることで、古民家が足りなくなるという問題もその一つ。私たちは常にローカルプレイヤーとして先行の課題を見つけ、それをしっかりと解決することで、日本だけでなく世界も視野に入れながら事業拡大を図っていければと思っています。これからも応援してください。

Before

After

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